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「馬鹿だ電波だとは思っていたが、ガチかてめぇ!」
秋の夕暮れの教室。
窓から少し冷たい秋風がカーテンを揺らす中、文化祭の準備を押し付けられ一人作業していた僕を手伝ってくれていた10年来の親友はあからさまに不愉快だと眉を顰めた。
「なんでいきなりそんな事言うんだよ! マジでどうかしてるぞ?」
いつものように頭を抱える親友はいつものようにため息をついて僕を見る。
親友との出会いは小学校三年生のころ、僕のクラスに転入してきたのが切っ掛けで自己紹介の時の声の小ささと変わった名前に少し気になったのを覚えている。
それから暫くの間は特に喋る事なんて無かったある日、僕は教室で茫然と立ちつくしているのを見て声をかけた…どうやら机が無くなったらしくて一緒に探すことにした。
結局、机は焼却炉に投げ込まれていて原型をとどめて居なかったけど僕は泣きじゃくる手をつないで『友達になろう』と言ったのを覚えている…なぜあんな状況で慰めるんでもなくあんな事を口走ったのか最近まではよく分からなかったんだけど今らなら理解できる。
「何を言う、夏のあの日に僕に熱烈な思いを表現したのはお前だろう?」
そう言ってやると、親友は更に頭を抱え下を向く。
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