『待ってる』という台詞を使った「イタイ場面」

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この人、ビッグマウスだな。 それにしても下衆太郎さんの所にはまだ書籍化の話が来てないのか。 「だからさ、情景描写と心理描写が完璧な俺がなかなか書籍化出来ないんだ。お前らみたいなグダグダな文章を書いてるやつは、10年経っても書籍化なんて出来ないね。サイトにアップしたその時が完成形じゃなければならないからな。俺の完璧な文章に手が出ないんじゃねぇかな。まぁ、お前らもその拙い文章力で頑張れや。後一杯飲んだら俺帰るわ。女もいなぇのにいても仕方ないからな」 ……ここまで言われて引き止めようとも思えない。 下衆太郎さんが言いたい事を纏めると、「俺たちのような文章力のないランキングが低いやつは、人の作品を読み漁って、良い所を吸収して書け」という事だ。 そうしなければ、俺達に書籍化の道はないという事だ。 俺とゴッデス山岡さんは、顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。 「まあ、色々言ったけどよ、ライバルがいてこそのランキングだからな。ここは俺が奢るからよ、早く俺の所まで上がって来るんだな。待ってるぜ!」 先ほど店員が持って来たビールをグイッと飲み干して、下衆太郎さんは手を振ってレジの方へと向かって行った。
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