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「誰だったんだろう......?」
茜は見るからに不安そうだ。
「わからない。僕たちと同じ“生存者”か、もしくは......」
「敵なのか?」
僕は、襲いかかる不安に生唾を飲み込み、桔平に言った。
「この首謀者かもな。そうじゃなくても、彼に接触する必要はありそうだ」
「まじ?!? ちょっと不気味だけどさ......イケメンだったよね」
涼果はキラキラした目で言った。
こんな緊急事態に、こんな発想ができる涼果の肝っ玉に尊敬の念を抱いてしまう。
「って言っても、モスクワでしょ?」
瑠衣は、涼果にかぶせるように言った。
「そうだな。飛行機で行くこともできない。危険だから、行ったとしても船か」
桔平はそう言うと、ロビーにゆっくりと寝転んだ。
何か考え事をするときはいつも寝っ転がって目を閉じる。
その癖をみんなは理解していた。
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