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ぐーっ
そんなことを考えていると、静寂に包まれたマンションのロビーに茜の腹の虫の音が鳴り響いた。
「えへへ」
恥ずかしそうに、後ろ髪を撫でながら立っている茜を見て、思わず、こっちも笑ってしまった。どうやら、お腹が空いたらしい。
時計を見ると、意外にも一二時三十分を超えていた。
昨日のまさに今の時間に僕たちは、この世界に取り残されたのだ。
「そろそろ、昼飯でも食べようか」
朝から何も食べていない僕も、昼ごはんを食べることに賛成だったので、提案した。
「いいわよ。何食べようか?。ヨンゼリアでも行く?」
涼果は、座ったまま巻いてきた茶色の髪を指でいじりながら言った。
「おいおい、ヨンゼリアにも人はいないから、誰も作ってくれねぇよ」
僕はすかさず突っ込んだ。
「そっか。じゃあ、どうしよう?コンビニ?」
涼果は困ったような表情をする。
「だね、コンビニに行こう」
桔平はさっと立ち上がった。
僕たちも、それにつられるように立ち上がり、マンションのロビーを出た。
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