六人と一匹

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7月23日 午後12時42分 むわっとした空気が身体を包む。 夏本番の空気はやけに湿っぽく、ジワジワと僕の体力を奪った。 「学校の正面にあるローサン行こうよ」 瑠衣は言った。 重い足取りとは裏腹に、早く涼しいコンビニに入り込みたくてたまらなかった。 気持ち的には、ローサンにヘッドスライディングをしたいほどの勢いだ。 ローサンに着くと、もう当たり前ではあるが、そこには誰もいなかった。 誰もいない陳列棚に商品だけが並べられていた。 そして、早く涼みたい気持ちで入ったローサンで、異常事態にすぐに気づいた。 「あれ? コンビニなのに暑い」 僕は、必死にクーラーのスイッチを探した。 「もし、日常から突然人が消えたなら、クーラーは付けっぱなしのはずだよな?」 和哉も僕のクーラーのスイッチ探しの旅に付いてきた。 日頃入ることのない店の裏に入ると、エアコンのコントロールパネルと店頭の電気のスイッチが並んでいる場所を見つけた。 僕は、パネルにある電源スイッチを押した。 しかし、パネルにある液晶には、何も映らない。
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