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「おそらく、大停電が始まってるんだね」
「ああ、春花の言う通り、これは大停電だ」
桔平も賛同してくれた。
「どういうこと?」
感のいい茜であったが、世間知らずな茜は真剣な眼差で尋ねた。
「発電所が止まったんだよ。火力発電所であれば化石燃料が足りなくなった、あるいは、原子力発電所であれば、安全制御装置でも作動したんだろう。日本中、いや世界中の電力は今日明日中には次々と止まるだろう」
「まじ!? まじかよ......。クーラーも点かないし、灯りも点かないし、もう携帯電も使えないし、パソコンも使えなしい、やばいじゃんか!」
和哉は慌てふためいた。
「昨日までは、みんないなくなったって、嘘みたいなことだって思ってたけど、やっぱりこれって本当なんだ」
涼果は、少し涙ぐんだ目をしていた。
「これからが、本当の戦いになりそうだな。俺たちだけでも、生き残らないと。さぁ、今から保存の効く食料やまだ食べれる物、飲み物、懐中電灯、電池、ここにあるものを全てレジ袋に入れよう」
桔平は、誰もぶつかったことのない事態の中でもひとり、冷静に事を前に進めていた。
「やだ......やだよ」
涼果は、へたっとコンビニの床に座り込む。
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