屋台のラーメンは好きですか?

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テツ先輩の家はタクシーで15分ほど走ったところにあった。 小ぎれいなワンルーム。お母さんは実家?なら、家は街金に取られなかったのだろう。 部屋の中央に立ち、そんな事を考え、少しほっとする僕の背後から先輩が腕を回し、耳元で囁く。 「ハル……いいのか?」 恋い焦がれた相手の体温を背中に感じ、耳に息と共に吹き込まれた低音に体が震えた。小さく頷きながら期待に自分の体が怖い程反応する。 羞恥で火照る頬に先輩の頬が寄せられ、そこに感じた唇が耳からうなじへと這わされる感触に全身が粟立つような感覚に襲われる。 もどかしい、直に触れたい。触れて欲しい。 テツ先輩も同じように感じてくれているのだろうか? この胸にせり上がる想いは僕だけなのだろうか? 先輩の長い指が背後から僕のズボンのベルトを外し始めた。 まだ、コートも脱いでない。 性急さが嬉しくて、体を捩り先輩と向き合い、仰ぎ見る。 彫刻刀で切り出したような鼻梁、眼鏡の奥の鋭い目、上品な唇。 熱くなっても冷静さを失わない端正で理知的な顔。 その表情が怒っているようで、伸ばしかけた手が躊躇いで止まった。 レンズ越しの瞳の陰は、怒りではなく、もしかしたら苦痛? 直接見たくて、テツ先輩の眼鏡に手をかける。 先輩も僕の眼鏡に手を掛け、お互いに外しあった。 「ハル……滅茶苦茶にしてやりたい」 『メチャクチャにして』と声に出す前に、開いた唇の奥深くまで舌が差し込まれ、絡め捕られ、攻められる。 怒りをぶつけるような強く荒っぽいキスに、体はさらに煽られて熱を増す。 先輩の生の感情をぶつけられているように感じた。 想いが膨れ上がって、何度も『好き』と、言葉になって溢れるかと思うと、唇を塞がれて飲み込まれた。 抱き合い、キスを交わしながら先輩の手がコートを脱がし、上着を脱がし、シャツの裾から入って来て脇腹を擦り上げる。 自分もネクタイを緩め、シャツのボタンを外し、先輩のシャツの中に手を潜り込ませ そしてそのまま、そばのベッドに倒れこんでお互いの服を脱がし合った。 be723a12-576d-41dd-985a-e08c595cd8f1
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