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直に触れる肌の温かさと滑らかさが、あまりにも気持ち良くて、ずっと肌を触れ合ったままでいられたら、と本気で思った。
鎖骨や胸を先輩の手と唇と舌が這って行く。
「ハル、気持ちいい?」
先輩の愛撫にぴくぴくと反応する僕に向かって、わざわざそう聞く先輩。
息が上がって、唇が離れても、まともな言葉を紡ぐことができない。
「せ…ん、ぱ……テツ…せん…気持ちい…い…」
耐えられず、お互いの張り詰めた欲望の塊に手を伸ばした。
先輩に直接触れられて、その衝撃に喉から声が漏れる。
「ハル……壁…薄いから…声、我慢して……」
苦しそうにそう囁いた先輩の唇が又僕の口を塞いだ。
体は快感の奴隷となり、もっと、もっとと果てしなくそれを求める。
僕らは二匹の獣だった。
二人で汚れた体をシャワーで流し合った後
先輩が服を着て、眼鏡を掛けジャケットを羽織るのを、体を拭きながら眺めていた。
僕の顔に疑問符が浮かんでいたのだろう、先輩が揶揄うような笑いを浮かべて僕の肩に腕を回した。
「コンビニ行ってくる。
ゴム、必要だろ?」
その意味がちゃんと分かるまでに数秒を要した。
じわじわと赤くなって行く僕を満足そうに見下ろして、チュッと音を立てて耳にキスを落とすと、「適当にビールでもなんでも飲んでて」
と言って出て行った。
確かに喉が渇いた。
先輩が貸してくれたスエットの上下を着ると、流しの側に置いてあったコップを借りて水道の水を飲む。
手首と足首に布が余っていて、先輩との体格の差を感じると同時に、先輩の服を借りている実感。
この、嬉し恥ずかしさは何だ……
ベッドに腰かけて部屋を見回す。
小さなクローゼットが造り付けになってる、よくあるワンルーム。
ベッドとスチール製のシェルフとテーブル、雑誌や服が程々に散らかった、男の一人暮らしにしたらかなり綺麗な部屋。
大胆で、それでいてきめ細かなボールの扱いを思い出して、ああ、テツ先輩の部屋だなと嬉しくなった。
ふと、床に置かれたクッションの側に落ちている冊子が目に入り、気になって手に取った
表紙を見ると台本のようだ。
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