屋台のラーメンは好きですか?

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僕を捕まえようとして吐いた嘘だと言うのか? いつも落ち着いて冷静な先輩が、真剣な表情を見せて僕に向かって来る。 現金にも、それが僕の卑屈さを一掃して、怒りも悲しみも涙もいつの間にか引っ込んでしまっていた。 酷い嘘で騙されたというのに。 恋が理由なら、有頂天にもなれるのか。 先輩が借金とか親の入院とか、辛い目にあって無くて、何だかほっとさえしてる。 ただ、一つ引っかかる事があった。 「先輩…… 少し気になる事があって…… もしかして、わざとですか? わざと、僕が台本を見つけるようにして、コンビニに行ったんですか?」 そう問うと先輩の眉間にしわが寄って、流石にバツが悪そうだった。 「ああ、バレたか…… ずっと騙している訳に行かないし、俺の嘘に怒って、ハルが出て行くかも知れないから、賭けだった。 キスで止めておく筈がハルに触れるのを我慢できなくて、あんな風になったけど…… 抱くなら、騙したままじゃなく、ハルの気持ちを確かめてからと思ってた。 台本を突き出された時は、もう終わりかと思ったよ でも、まだ出て行ってない。 希望は残ってるんだろ?」 「策を弄して、僕の気を引いて、先輩に身を投げ出したら手の内を見せて、どう出るか賭けたってことですか?」 その作戦に引っかかった身としては嫌みの一つ位言ってもばちは当たらないだろう。 心の底から湧き上がって来る嬉しさに顔が緩むのを抑え、憮然とした表情を作って見下ろすと、先輩は両膝に肘を突き大きくため息を吐いた。 「……ずいぶん簡単にまとめたな」 項垂れる先輩の姿が何だか可愛い。 隣に腰かけ、太腿に手を置き、耳元に唇を寄せ囁いた。 「……賭けに勝ったらどうするんでしたっけ?」 顔を上げた先輩の眼鏡を僕の指が外す。 先輩の手が僕の頬を包み、そしてそのまま後ろに倒された……
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