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岳さんの背中を見つめ、溜め息が漏れた。
カタカタ響くタイピングの音に、眠気が誘われる。
こうしてじっと待つのは大好きだけど、10分や20分で彼の仕事が終わることはない。
暖かいお部屋でぬくぬくココアとか飲みながら映画を見たりする日常には、もう慣れた。
でも、時々こうしてふと我に返り、岳さんの背中を見てしまう。
岳さんと視線がかち合うことはなくて、あたしの視線の先にあるのは丸まった彼の背中。
彼はいつも背筋を伸ばしてしゃんとしているから、書いている時だけしか見られない。
そう思うと声をかけるのは躊躇われた。
お仕事中っていうのもあるんだけど。
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