ぶっつけわんらい企画(10/21)

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   ──岳さんがあたしを甘やかしたいのは、彼自身が甘えたい時だ。  近頃、なんとなくそういうことがわかってきた。  胸の少し上に回された大きな手に自分の手を重ねながら、彼の腕に顔を埋める。 「なあに、華緒梨。猫みたいじゃん」 「……だって、あったかいから」 「可愛いことを言う」  心底嬉しそうにつぶやいて、岳さんはあたしの手からマグカップをするっと抜いてしまう。  ソファーの後ろから回り込んできた彼は、あたしの隣にすとんと腰を下ろした。  自分はそこに戻されるのが当たり前のような感じで。 「うえ、ココア? ……あっまい」  香りでわかったと思うのに、わざわざ一口飲んでから眉根を寄せる岳さんに、くすくすと笑いが漏れた。 「コーヒー淹れてあげる。待ってて」 .
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