第一章 「コーヒーソーダな出会い」

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そのサイトは、富井明日香が通うデザイン専門学校で、南米出身日本育ちの同級生のエリザベスに教えてもらったアート投稿サイトであった。日本国内ではあまり聞かないサイトの名前だが、「世界のアーティストの間では有名だよ!」と推されて、今日の授業が終わった後、二人で学校の近所のファミレスの一角に座った。 「うわー……、オール英語じゃん……。」 「そうだよ! アメリカのアート投稿サイト!」 ベスがピーチソーダの甘みを楽しみながら、明日香のスマホを一緒に覗き込んだ。明日香は目の前のアイスコーヒーのブラックと同じ心境である。 高校を卒業して早一年半、もともと英語の苦手な彼女は、今では簡単な英語の単語と文法しか覚えていない。ギリギリ赤点という程だ。 「明日香、大丈夫! 私もしているし、教えるよ!」 南米特有のベスの明るい性格に今回も心が癒されと、今日もまた彼女に抱きついた。彼女も明日香をぎゅっと強く抱き返す。 「ベス~! ありがとう!」 「明日香~! 頑張って!」
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