第一章 「コーヒーソーダな出会い」

6/6
前へ
/64ページ
次へ
ピコン! と、スマートフォンが軽快な音を発した。「え?」と画面を見ると、かの人物がすぐに明日香に返事を書いてきた。 You are welcome. Philip Hopkins 「なんだこれは!?」 意味の解らない英語の再来である。 明日香は再び英単語を調べた。 『意味 : どういたしまして。』 「えっ! ……あっ、ありがとう……!」 明日香は、思いもよらないPhilipの返信に、慌ててお礼を画面に向かって呟いた。 初めての不思議な事ばかりの、夢のような体験。スマートフォンを待ち受け画面に戻して、布団を頭までかぶる。 ( 心臓がバクバクしてる……! ……でも、面白かった! ) そう明日香は、抑えられない興奮と笑顔の為に、寝付けない夜を迎えた。 彼女が布団に潜り込んだその瞬間、短時間でも彼女との会話を大変楽しんだその男は、微かな鼻歌を短く歌ってタキシードの上着を軽やかに羽織り、ディナーパーティーへ送迎する車の運転士へコールする為に、名残惜しくもノートパソコンを閉じた。 それは、想像以上の緊張と楽しさ、そして、これから始まる未知の冒険への足音。これらをこの日のファミリーレストランのメニューに例えるなら、緊張をコーヒー、楽しさと冒険はソーダ、さながら「コーヒーソーダ」だと思案する。 第一章 「コーヒーソーダな出会い」 完。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加