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「いやぁ。嬉しいです。
ナチュールさんは同業者の間でも一目を置かれているお店なので…」
そう言って笑った彼は本当に可愛らしい顔をしている。
【神野 進 27歳
去年の4月からカンナのいるお店で働いているらしい。
年上だが同僚と表現したのはその為だ。】
ー確かに優しそう。ちょっとだけぽっちゃりとしていて、カンナが今まで付き合ってきた男性とはタイプが全然違う。
でも人は見た目によらないからな。
「今日はお越し頂きありがとうございます。私店長の相模と申します。」
店長が神野さんに頭を下げた。
こちらこそお招き頂きありがとうございます。と神野さんが頭を下げた。
店長が私の隣の席に座った。
「ちょっ!何で店長も座るんですか!?」
驚いて聞いた。
「実は私と悠里は結婚を前提にお付き合いをしておりまして…私も悠里のお友達のカンナさんとお話がしたかったんです。」
「けっ!?」
声を出しかけたところで。
「悠里からお話は聞いておりました。悠里のこと宜しくお願いします。」
とカンナが頭を下げる。
この二人私の居ないところで打ち合わせしてたんだな。
何で私が店長なんかと!と思っていると
『まぁまぁ悠里。ダブルデートだと思わせておけば後々やり易いかもしれないでしょ!』
ーあぁ…それもそうだな。
って紫乃さんも知ってたのかよ!
「はい。悠里の事は必ず幸せにします。」
そう店長に言われ、ちょっとだけ赤面した。
「それよりお二人はお付き合いをされているんですか?」
それよりって!と思ったが中々良い質問だ。
「いえ。そのような関係ではありません。仕事仲間です。」
神野さんがハッキリと否定した。
いやいやいや。仕事仲間では無いでしょ!
好きだって言い合ったんでしょ?
カンナを見ると悲しそうな顔をしている。
拳をギュッと握った。
「でも何とも思っていない相手の友達に会うなんて普通しないじゃないですか~」
努めて笑顔を見せる。
「えぇ。カンナさんの事は素敵な女性だと思っています。」
「じゃあ!」
と言ったところで
「ただ今は誰ともお付き合いは出来ませんので…」
どうゆうこと?
カンナだけじゃなく誰とも付き合えないって何?
『悠里!ちょっと焦りすぎよ。』
紫乃さんに注意を受けた。
店長を見ると少しだけ険しい顔をしていた。
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