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「変な女」
と言って楓君はうつむいてしまった。
毒舌を言ったけど、何か照れるような事言ったかな?と不思議に思った。
「そう言えば、店長のこと好きじゃないって本当かよ?」
と急に楓君が聞いてきた。
「えっ?…うん。好きとは違うかな」
と答えた。
「どうゆう事だよ。じゃあ店長に対してどんな気持ちなんだよ。」
「う~ん…かっこいいなぁって思う事もあれば、子供っぽいなぁって思う事もあって。この人に認められたいって思うときもあれば、こんなやつに言われたくないって思うときもある」
う~ん。と腕を組んで考えてから
「やっぱりわかんない!」
と明るく答えた。
何だよそれ。と言いながら
「店長は良い人だよ。本当に。
少しだけ変わってるところもあるけど、考え方はしっかりしてる。」
「紫乃さんの父親にも言っていたけど、意外と人脈もあるし人望もあつい。
俺はあの人を尊敬するな。」
そう楓君が言ったので
「私は楓君の事も尊敬してるよ!料理の腕もそうだけど、盛りつけがキレイ。とか。私楓君の料理大好きだよ!」
と本当に思っている事を楓君に伝えた。
「俺は人に好きになってもらえるような人間じゃないんだよ…」
楓君は小さく呟いた。
「えっ?何?」
あまりにも小さくて聞き取れなかった。
「あっ!それよりさぁ~紫乃さんが35歳って言うのにはビックリしたね!
私てっきり24歳か25歳だと思ってたよ!」
手を顔の前で合わせた。
その手をグイッと楓君が引っ張り私の手の平を見た。
「これどうしたの?」
と楓君が私に訪ねる。
「あぁ!紫乃さんの父親にムカついてずっと拳握りしめてたの!
母親が出てきてちょっと緩めたんだけど、あの発言でしょ~更に強く握りしめちゃった!」
笑いながら手の平についた爪の痕を見た。
楓君が私の体をグッと引き寄せ強く抱きしめる。
「か、楓君!?」
そう聞いた私の耳元で
「あんまり無理するな。辛いときはちゃんと俺を頼ってくれ。」
と言って、更にギュッと強く抱きしめた。
「楓君ってば!どうしたの!?」
そう大きな声を出すと、ハッしたのか慌てて私の体を引き離した。
「帰る。」
とぶっきらぼうに言って楓君は扉に向かって歩き出した。
「え?もう帰るの?」
と聞くと
「お前と2人で居ると彼女が怒ると思うから。」
そう言って楓君は店を出た。
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