恋する5秒前

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「要するに好きかどうかわからないってこと?」 カンナにそう聞いてみた。 「いや。初めは良い人だなぁって思ってたんだけど、告白されてからは目で追っちゃうっていうか…」 「気になり始めちゃったってかんじぃ?」 いつのまにか紫乃さんが私の後ろに立っていた。 「そんなわけないだろ。」 楓君が口を挟む 「お恥ずかしい話…その通りなんです。」 「そうよねぇ。告白されたから好きになっちゃった。なんてよくある事よ!」 自分の意見を否定した楓君を肘で小突いている。 「そうなのか。知らなかった」 本当に知らなかったようだ。 「じゃあ付き合えば良いんじゃないの? 今までのカンナだったら絶対付き合ってたでしょ…」 言い終えたところでまたひどいことを言ってしまった!と口を押さえた。 「いいの!いいの!その通りだから。 でも、なんていうのかな…彼は別に私と付き合いたい訳ではないみたいで…」 「えぇ?どぉゆうことぉ? 好きな人とは付き合いたいって思うし、触りたいって思うのが普通じゃない! もしかしてその彼たた…」 楓君が紫乃さんの肩をおもいっきり叩いた。 いたぁーい!と紫乃さんが声を上げる。 「すみませんね。紫乃さんはそうゆう話が好きなもので。」 店長がカンナに頭を下げた。 「ひどぉーい!一般論を話しただけよ。女心がわからない男達は嫌ね」 そう言いながら手をシッシッと振った。 「仲が良いんですね」 とカンナがクスクス笑っている。 「笑っている場合じゃないわよ!カンナ。付き合いたいたくないってどうゆうこと? 酔っ払った勢いで言われたとか? もしかして!身体の関係になった後に言われたとか!?」 カンナならそんな言葉に騙され兼ねない…そう思ってしまった。 「違う!違う!ちゃんと健全なデートをした後に言われたのよ。」 カンナの言葉に安心した。 「誰かの事をこんなに好きになったのは初めてなんだ。この気持ちはずっと変わらないよ。絶対に」 「彼は私にそう言ってくれたの。」 その様子を思い出したのかカンナは顔を赤く染め笑っていた。 「えぇぇ。素敵!私もそんなこと言われたいなぁ」 ねぇ。こうちゃんっ!と言って紫乃さんは店長に目配せをした。 店長はニコッと笑ったが未だにこの二人の関係性がわからない。 「でもその後に、気持ちを伝えたかっただけだから返事はいらないから。って言われたのよ。」
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