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「それってさ、ただ断られるのが怖くてそう言ったんじゃないの?」
私はそんな弱い男は嫌だなぁ。
「そうなの!私もそう思ったから彼の事を呼び出したの。
私も好きですって伝えるのに。」
「わ~お!今の子は積極的なのね」
紫乃さんはカンナの隣に座って、で?で?と話を催促している。
「ありがとう。本当に嬉しい。夢みたいだ。」
「って言いながら本当に嬉しそうにしていました。」
うん。うん。それで?と言いながら紫乃さんは完全にカンナの方を向いている。
「それだけなんです。
その時ちょっとだけ悲しそうな顔をしてから、じゃあ行くねって言われてそのまま…」
ズルッと肩を落とした紫乃さんが
「それってどぉゆうことぉ?」
と不満そうに言った。
「それでも付き合おうと直接言葉にしていないだけで、相手は付き合っていると思っているだけなのかもしれないですよね?」
冷静な声で店長が言った。
「それがその後も一緒に帰るわけでもなければ、連絡をくれる訳でもなくて…
付き合ってるとは言えないと思います。」
「うーん…よくわからない人ね」
みんながうーん…と頭を抱えた。
「ではこうしてみてはいかがですか?」
店長が話始める。
「彼をここに連れてきていただいて、私達が彼の真意を確かめる…」
「えっ。でも私が聞いてもダメなんだから、きっと彼は答えてくれないと思うんですよね。」
カンナが悲しそうな声を出した。
「いえいえ。直接聞くわけではありません。
この子は人を観察するのが得意だから、ちょっと委ねてみませんか?」
へ?としまりの無い声を出した私の肩を店長が抱いている。
「それに、今回は別に変身をする必要はなさそうだから解決料はいらないし。
食事代も悠里の友達特典でサービスにしますよ!」
「本当ですか!?
嬉しーい!ここのお料理はとても美味しいって会社の人が話してたことがあるんです!
一度で良いから食べてみたいって思ってたんですよね。」
やったー!とカンナが両手を上げた。
楓君はうつむいている。お客様だから、毒舌は吐かないようだ。
「カンナ。ここの料理は本当に美味しいよ!自分の店だから…とかじゃなくて本当に!」
「うるせーよ!早くお前もこのくらい作れるようになれ。」
私には毒舌炸裂のようだ…
「じゃあお願いします。」
とカンナが頭を下げた。
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