恋する5秒前

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「それより悠里のお相手はどちらなんですか?」 カンナがニコニコしながらそう言った。 「どっちって何が?」 カンナにそう聞いた。 「だからぁ、店長さんと楓君?どっちと付き合ってるの?」 「なっ何言ってるの?どっちともそうゆう関係じゃないから!」 慌てて否定する。 「えー!こんなにかっこいい2人が揃っててどうして何も無いの?」 カンナは驚いている。 「私は悠里とならいつでも良いんですけどね。」 と店長が入ってきた。 「店長!黙ってて下さい! この通り店長はこんな人だし…楓君は彼女がいるから。」 カンナに訴えかける。 「ふぅん。じゃあ可能性があるなら楓君ってことね。」 とカンナが言った。 「なっ!?」 私と楓君の声が揃った。 「だって、彼女がいるから何も無いんでしょ? じゃあ彼女がいなかったらアリって事じゃん。」 「あぁ!確かに!そうもとれるわねぇ」 紫乃さんがカンナの意見に同意する。 「ちょっ、ちょっと待って!私の気持ちじゃなくて楓君の気持ちも大切でしょ? 私と話をしたら彼女が嫌がるからって言っちゃう位楓君は彼女の事が好きなんだよ! ありえない。ありえない。」 「え?」 と驚いた声を出したのは店長。 「お前!余計なこと言うなよ!」 と言った楓君は怖い顔をしている。 「だって本当の事じゃない!」 と私も大きな声を出した。 「まぁまぁそこまで! そろそろ開店準備しなくちゃいけないからな。」 パンパンと店長が手を叩いた。 「カンナさん。お相手の方をこの店に誘っていただけますか? 日にちなどが決まったら教えてください。すぐに席の用意を致します。」 店長がカンナに言った。 「わかりました。 お手数おかけしますが宜しくお願い致します。」 カンナは店長に向かって丁寧に頭を下げた後、こちらを見た。 「悠里。本当にありがとう。悠里と店長に相談して良かった。」 ギュッと抱きついてくる。 「カンナ。ありがとうはまだ早いよ。 ちゃんと彼の気持ち確かめてからにしよう!」 ねっ?と言って目を合わせた。 「うん。宜しくお願いします。」 そう言って先ほどと同じように私に向かって深く頭を下げた。 店長と紫乃さんがコソコソと話をしている光景が目に入った。
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