入社式

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 生まれて初めてできた彼女は、同じ大学の同期だった。  彼女とつきあい始めて3年。どちらかの家に泊まることも、休憩と偽りラブホに行くこともなく、正常に性欲のある成人を越えた男にしては清い交際を続けた。  食事をする。遊びにも出かける。ケンカは年に数回あったが、次の日どちらか頭を下げた。  SNS、メールや電話の回数は少なく、ラブラブな言葉は照れもありあえて使わない。 『結婚するまでとっておくんだ』  彼女の純粋な言葉を信じた。  心は満たされた気になっても体は満たされていない。  それでもリア充だと感じていた。
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