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3年つきあった彼女に電話1本でふられた。
結城は誰よりも早く会場を後にし、やけ酒といわんばかりに、彼女の誕生日に行ったバーでひとり酔いつぶれた。
俺なんて。
彼女に捨てられあげく、ストーカー扱いされた無様な男。周りに人がいようと己を蔑むように薄ら笑いが浮んでいる。
就職をきっかけに変わるはずだった。彼女の期待に応えようと本気で思った。何もかも失った。2度と彼女は作らない。
目覚めるとベッドの隣に誰かが寝ていた。
「気分はどうだ?」
起き上がろうとした結城に彼は言った。
見覚えある顔。
「大丈夫か?」
眼鏡をはずし前髪はおろしていたが、その顔は昨日入社式で結城を問い詰め、立食パーティーで優しく接した常務の諏訪だった。
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