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結城の番が近づいた。
きちんとできなければ彼女に怒られる。この日のために選んでくれたネクタイを無駄にする。
隣の発表が終わった。結城は呼吸を整えた。
「結城…」
くしゅん。
役員たちの中から大きなくしゃみが聞こえた。
「すみません。続けて下さい」
諏訪だ。
なぜこのタイミングで?
結城の思考は発表のことより諏訪の意地悪に傾いた。
「どうしました?」
眼鏡の奥は笑っていない。結城と何もかも違うエリートは冷たいオーラを放った。
「…」
他の役員たちはおじさんで、諏訪だけが異色で、この中で誰が1番優秀に見えるかといえばそれは諏訪で、直属の上司でなくても、敵に回せば痛い目にあう確率は高い。
「時間を気にして下さい。後の人がつかえます」
結城の体は固まった。
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