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「さてと。十日」
そこにはもう、堕落した先輩は消えていた。
いつもの、キリとした先輩だ。
「はい」
「仕事にかかるぞ」
「仕事ですか?」
「今年もなんとか運動会は開催されることになった。
だから次が本当の仕事だ、
大人たちに勝つための策を練る」
そうだ、先輩にとっては、それこそが本当の勝利なのだ。
「まずはデータだ。
去年、PTA側での参加者の名簿、健康診断の結果、
できれば過去の運動成績を集めてこい」
「え?そんなの・・・・・・」
「無理、なんて言うつもりじゃないだろうな。
大丈夫だ、私が去年やっている。
大切なところは教えてやるよ」
私の頭の上に、ぽんっと手を置き。
「先代様がそうしてくれたように、
手取り、足取り、な」
そう言って、悪戯いっぱいの笑顔を見せる。
私は、表情でありったけの不満を、
精一杯表現して「お願いします」と言った。
「じゃあ、行くぞ」
そういうなり、先輩は生徒会室を出て行ってしまった。
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