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鈴の家に来ているとき
子供っぽい彼は十九歳の大学生には見えないのだが、
外で見かけたりすると印象がまるで違う。
友人と並んで歩き、
彼らと同じ表情で笑うその顔は鈴の知らない結夜だった。
(なんだろう、何かが違う。何かが……)
鈴には気付かず結夜は彼らと通りの向こうへ歩いていく。
しかし何かを突き付けられたような感触に、
彼女はしばらく佇んでいた。
遠ざかる結夜の背中を追うように見つめる。
声を掛けられなかった、と後で気付いた。
衝撃が何を表していたのか分からないまま日は過ぎ、
それを忘れて鈴は結夜と楽しそうに笑う。
けれどもつい先日、彼女はよりはっきりと打撃を受けた。
(男子だけだったら、気付かないままだったのかな)
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