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それからしばらくトシくんと会うことも無く、あの可愛い笑顔を忘れかけてた頃…
仕事のお昼のピークが終わり、一息ついてた時。
「おはようっす!」
バックヤードの入口から元気な声が聞こえた。
声のした方を見ると…
え…?
そこにはトシくんが居た。
「一ノ瀬さん、覚えてます?俺、一ノ瀬さんに会いたくて来ちゃいました!」
「来ちゃったって…覚えてるけど…トシくん学校は?」
確か専門学校に通ってると言ってたはず。
「辞めたよ」
「はぁ?辞めた?」
突然の言葉にびっくりした。
「俺…一ノ瀬さんともっと仲良くなりたい。一ノ瀬さんに一目惚れしたみたい。だからこれからは一ノ瀬さんに会いにお店に来るから!」
「はぁ?」
更にみんなもびっくり…
私もびっくり…
「マジやから!」
もしかしてトシくん惚れやすいのか?
少し唖然としたけどニコニコ話すトシくんにみんなも私も圧倒されてしまった。
そのままその日は仕事を手伝ってくれて少ししてから私は帰った。
本気なのかと疑ったけどそれから本当にトシくんは毎回私がバイトに入ってる日は必ず来た。
そして無給で仕事を手伝ってくれた。
私のする事にいちいち可愛いって言う…
私はそんなトシくんの言葉に少しずつ気が緩んでいった。
私の中の忘れかけてた女性なんやという感覚に少しずつ光が灯り始めてた。
そしてバイト先が楽しみになった。
バイトに行けばトシくんに会える。
トシくんの可愛い笑顔はお昼の主婦達の心に染みるのにそんなに時間はかからなかった。
私だけじゃなく、他の仕事仲間の主婦達もトシくんが来るのが楽しみになってた。
私はこの先を期待するわけでは無かったけれどトシくんの行動が嬉しくて仕方なかった。
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