第1章

6/1432
前へ
/1432ページ
次へ
 呻くように頭から血を流し睨みつける勇者。  すでに他の二人の仲間は、瀕死の重症だった。  そんな絶体絶命の勇者を、魔王カノンカースは不敵に見下ろした。  魔物の瞳である金の瞳に宿る冷酷さと傲慢さが見て取れる。死神とも言えそうな黒い衣装に、銀色の長い髪。  恐ろしく整った美しい容姿が、更にかの魔王の恐怖を引き立てていた。 「何だ、お前はこの程度か?」 「まだ……俺はまだやれる!」  勇者はふらつきながらも立とうとして、膝をつく。既に勇者も限界だった。  その様子に魔王は嘲笑う。
/1432ページ

最初のコメントを投稿しよう!

776人が本棚に入れています
本棚に追加