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「無理をするな、人間。元々人間が我ら魔王に勝とうなど、思いあがりも甚だしいのだ」
「……く、それでも、俺は……勇者として……」
「他にも多くの勇者がいるのだ。お前が倒れた所で代わりは幾らでもいるぞ?」
「……だからといって、ここで……諦めるわけにはいかない!」
そう、最後の力を振り絞るように勇者は剣を振り下ろした。
それを馬鹿にしたように魔王は笑い、結界で防ぐ。
その結界にはじかれて勇者が転がった。再び起き上がろうとするも、既に勇者にはそんな力は残されていなかった。
魔王が勇者の前にかがみ、頭を掴む。勇者の口から血が零れた。赤い血。
魔王は魔物としての衝動で、勇者の口を伝う血を舌で舐め取る。
それに僅かに勇者が目を見張り、魔王を凝視する。その様子に、魔王は笑う。
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