第1章

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「昔、実践経験のためにとあるパーティにいたのです。その時に、カノン君がいて……何度も助けられて。当時鼻持ちならない子供だった僕は、自分がまだ弱いことに気づいたのです。そしてその時からずっと好きでした」  あの後彼が魔王だとこっそり仲間の人が教えてくれて、それでも忘れられなくて、努力して強くなった。  勇者に選ばれた時はとても嬉しかった。  これであの人の傍にいられると思ったから。なのに、 「……僕が強くなる原動力だったのに、彼はレオン様のものに」  ホーリィロウは今まで何でも手に入れてきた。  それは、ホーリィロウにとっては簡単な事で。  けれど一番欲しかったものは、何も手に入れる事の出来なかったレオンに渡ってしまった。  そんなホーリィロウを不安そうに彼の仲間とイオ達が見守る。  挫折をあまり知らないだけで、ホーリィロウは今まで順調に来たわけではない。  そう、ホーリィロウはまだ諦めていなかった。
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