衝撃

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 空気が乾き、吐く息が白くなりはじめた季節。  私はまたもホームで待ちぼうけを食らっていた。  またかと思うが、これが都会の一つの理由であると諦めをつけて会社へ連絡する。  部長へまた頭を下げなければと思って居たのだが、急用が入ったとのことで、私は電話越しに頭を下げることはなかった。 それだけに、今日自殺をした人にはあまり怒りはこみ上げてこなかった。  ただ、少し疑問に思ったのは、上野部長のことだ。 必ずと言っていいほど小言を飛ばしてくるあの人が、小言の一言も言わず電話口に出なかったのは、初めての事だった。
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