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その日は、夏の暑さも収まり、夜になると少し肌寒いくらいの気候が訪れるというのが日常になりつつあるそんな一日の一つでしかなかった。
いつもと同じように会社に向かうために駅のホームで電車を待っていたのだが、その日もまた電車が遅れたのである。
原因は都会ではよくある人身事故で、多くの人がホームで落胆のため息をこぼしたり、会社への連絡にと忙しい。
私も会社に遅れる旨を連絡するが、そういうことも含めて通勤時間に含めるのが社会人の常識だなどとどやされ、見えるはずもないのに電話口の相手に向かって頭を下げることになってしまった。
まったく都会の人間というものはよくもまぁ死にたがりの多いことで、社会人になってからというもの、この理由での遅刻は両手の指ではもう足りなくなってしまっている。
死にたいという人間を引き止めることは、私には出来ないが、死ぬのであれば、人に迷惑をかけない方法で死んで欲しいと思ってしまう。
そんな事を公の場で言うと、倫理上の問題から大変な非難を受けるだろうが、口に出さないだけで、この自体に直面している人であれば、誰もが思っていることだろう。
すでに死んでしまった人にムチを打つ言葉だったとしても、その人と私には何も関係のないことなのだから。
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