エピローグ

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『お前が、並外れた運の持ち主だということは認めよう。 だが、運よく辿り着けても、あの星での人生を終えぬ限り 彼女は、お前のことを何一つ憶えてはいない。 もちろん、思い出すこともない。 それどころか、星の数ほどいる人間の中で 出会えるという保障すら有りようもないのだぞ』 しかし青年は少し目元を微笑ませ、『分かっています』と頷いた。 『ですが、セリーシャならば、漆黒の闇の中でも見つける自信があります』 『なれど、今、彼女は、この星のセリーシャではなく、 まったく違う人物といっても過言ではない』 『僕は、自分たちの運命を信じます』 あと少しだけ待てば良いものを。 老人が、淡く溜息混じりにかぶりを振った。 だが青年は、目元の微笑を小さく広げて言う。 『待つことには、もう厭きました』
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