第1章

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 男はそんな私を見て、きっぱり言う。 「俺は、暴れ騎士ではない」  ギクッとして彼を見た。心を読まれたのかと思った。  彼はまっすぐ前を見ている。   「うそ…」 「嘘はつかない」  即答で断言。  相変わらず黒目は前を見据えている。  はたから見れば誰としゃべってるの?と思うほどに、こちらを見ない。  しばらく無言が続いた。  その間、私は彼の横顔を見つめていた。なぜか目が離せないのだ。  彼の顔を見ると、何かが頭の中でひっかかる。  何だろう。この違和感は。  と思った瞬間、黒目がぐるっとこちらを見た。  びっくりして目をそらしそうになる。 「なんだ」 「な、なんでもないです」 「なら、そんなにこちらを見るな」  またバレた。  男は私からふいっと目をそらし、また前を見てボソリと呟いた。  「あのときの面影もないな、この街は」
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