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あのとき?
「この街に来たことが…?」
「7年前まで住んでた」
私が8歳ぐらいの時か。フェブリアが一番平和だったとき。
「2年に一度のフェブリア祭の年だったのに、と拗ねていた記憶がある」
拗ねる!
さっきからにこりと笑いもしないこの男が?
「何を笑っている」
「なんでもないです…ふふ」
思わず口の端から笑みがこぼれる。久しぶりに笑った気がした。
「…笑うなら勝手に笑え」
男は、恥ずかしくなったのか顔を少し赤らめて立ち上がった。
そして、おもむろにさっき叩き折った2つの剣先を手に取った。
「噂には聞いていたが…まさか本当に暴れ騎士に出会うとは思わなかった」
「じゃあ、あなたは…」
「何度も言うようだが、断じて暴れ騎士ではない」
男はため息をついて、ちらりと後ろを見た。
「生憎、俺はああいう奴らを倒すのが仕事だからな。ところで、いつまでそこで見てるんだ。早く出てこい」
「え?」
「あー、やっぱりばれちゃうよね、君には」
上からアルトのよく通る声が聞こえてきた。
見上げると、赤レンガの壁の上から飛び降りる3つの影。
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