第1章

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 夜風をしのぐために体に巻きつけていたボロ布を、ぎゅうっとつかんで、赤レンガの壁にゆっくり寄りかかった。    なんだったのだろう、あの幸せな日々は。ただの幻だったのだろうか?   だとしても、こんな仕打ちがあるだろうか。  半年前のある日、平和だったこの街が一気に悲鳴で包まれた。街の掲示板に、張り出された一つの文書。      世界隔離政策通達文書  本日より、リングウ領フェブリアは、世界隔離政策対象都市とする。  それに伴い、全ての都市からの輸出入、及び三大都市からの全世界共通保障を  今後永久に廃止するものとする。                          三大都市代表首相 リガー・ヴェルム  十年前から始まった世界隔離政策。  それは、対象都市をはじめから世界に存在しなかったように扱う恐ろしい政策だった。  その通達が届いた都市は、確実に衰退し、本当に世界から消えてしまう。
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