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騎士の太い手が、こちらに伸びてくる。
あごを、がっとつかまれた。
「あ、あ…」
ぐっと暴れ騎士の顔が、寄ってきた。
「安心しな、お嬢ちゃんは小さいから、殺しはしねぇよ」
「大けがはしてもらうけどなぁ!」
ゲラゲラと笑いながら、一人が腰のレイピアを抜いた。
スチャリと金属質の音がする。
目の前に、銀色の刃がギラギラと光っていた。
それを見た瞬間に、完全に動けなくなった。死ぬ。大けがなんてものではすまない。
出血多量で確実に死ぬ。
「い、いや…いや!」
逃げようともがくも、おさえこまれてしまった。
「いやああああっ! 離して! 死にたくないいぃ!」
「ばたばたするんじゃねぇ! おい、もうやれ!」
「あいよ」
暴れ騎士がレイピアを振り上げる。スローモーションでそれが振り下ろされていく。
「いやあああああああ!」
目をつぶった。
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