第1章

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 騎士の太い手が、こちらに伸びてくる。  あごを、がっとつかまれた。 「あ、あ…」  ぐっと暴れ騎士の顔が、寄ってきた。   「安心しな、お嬢ちゃんは小さいから、殺しはしねぇよ」 「大けがはしてもらうけどなぁ!」  ゲラゲラと笑いながら、一人が腰のレイピアを抜いた。  スチャリと金属質の音がする。  目の前に、銀色の刃がギラギラと光っていた。  それを見た瞬間に、完全に動けなくなった。死ぬ。大けがなんてものではすまない。  出血多量で確実に死ぬ。 「い、いや…いや!」  逃げようともがくも、おさえこまれてしまった。 「いやああああっ! 離して! 死にたくないいぃ!」 「ばたばたするんじゃねぇ! おい、もうやれ!」 「あいよ」  暴れ騎士がレイピアを振り上げる。スローモーションでそれが振り下ろされていく。 「いやあああああああ!」  目をつぶった。
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