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ガギッ、キーンッ。
金属音が、痛いほど耳に入る。
黒髪の男は、剣を使って攻撃をかわし始めた。
背中に背負っている大盾は全く使おうとしない。
黒髪の男は、ざっと後ろに飛び退き、剣先を暴れ騎士に向けて、一気に走りだした。
「な…!?」
暴れ騎士がひるんだすきに、黒髪の男は初めて剣を振った。
「…んっ」
少し、うめくような声を彼が発した瞬間。
カランカラン…と乾いた音を立てて、二つの剣先が地面に落ちていた。
今の一発で、二人分の剣を切った…?
「まだやりたいか?」
黒髪の男は、真っ黒のゴムボールのような光がない目を二人に向ける。
「ひっ…」
腰が抜けて地面に座り込んだ騎士たちに向かって、びっと剣を向ける。
「速く立ち去れ。悪い事は言わない」
そして、人差し指で落ちている剣先を指しながら言った。
「さもなくば、お前たちの首がこうなるぞ」
「あ…あ…」
「行けえっ!」
周りの空気さえ震えそうな大声に、二人の騎士はつまづきながら逃げて行った。
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