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しばらくしてリュウジはガブリエルに呼ばれた。アキラの愛した女性の寿命が尽きたことでアキラは天界に戻される。そう思っていたリュウジにガブリエルが問いかけた。
『アキラ様は人間を愛したことを悔いていらっしゃいますか?』
『…』
リュウジは答えられなかった。リュウジが見ている限り、アキラは彼女がこの世界から消えてもその想いに変わりはないように見える。いつも彼女がいた場所に目を向け幸せそうに微笑む姿を彼は見続けていたのだから。
『沈黙が答えのようですね』
ガブリエルは冷たく言い放った。
『ガブリエル様…』
リュウジは口を開こうとするがガブリエルの蔑むような瞳はそれを許さなかった。
『アキラ様は何故あの場所に堕とされたのか理解されておられぬようだ』
『…』
『今のアキラ様を天界に戻すことは許されません。リュウジ、引き続きアキラ様をお願いします。それともう一つ、あなたに使命を与えます』
『使命?』
リュウジが視線を向けるとガブリエルは彼に背を向けた。そしてゆっくりと言葉を紡いでいく。
それはリュウジが思いもよらぬことだった。
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