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あの日、リュウジはいつものように務めを行っていた。そして外が騒がしいことに気付いたリュウジは扉を開けて慌てて走り回る者を呼び止めた。
『何事だ?』
『リュウジ様、大変なことが…』
『どうした?』
『アキラ様が禁を犯されたのです…』
『なんだと!』
リュウジは驚きの声を上げた。その声に目の前にいる者は怯えたように身を竦める。
『アキラ様が…まさか…』
リュウジがそう呟いた時だった。
『リュウジ様、熾天使ガブリエル様がお呼びです』
使いの者に言われリュウジはアキラの事が事実であると確信した。そしてその事実を受け入れるためか唇を噛みしめた。ふーっと大きく息を吐いたリュウジはゆっくり聖堂へと足を向ける。
両開きの扉に手を掛け中に入ったリュウジは聖堂の奥に立つ熾天使の前へと進んでいった。
『来ましたね、リュウジ。熾天使ラファエルの名を持つ者よ』
そう声を掛けたのは四大天使の一人、熾天使ガブリエルの名を受け継いだ麗しの天使。その美しさは冷たさを帯び「氷の微笑」と称される程だ。
リュウジは自分を見つめる上位天使の前に膝をついた。
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