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「行こ!五郎丸~」
紅葉の広がる大きな公園「楽園」に唐木深雪(からきみゆき)と言う16歳の女の子が犬を連れて楽しそうに走る。
「あ!渉く~ん」
深雪が手を振る向こうにはどこか悲しそうな顔をした青年がいた。
彼は深雪に気づくと直ぐに明るい顔になった。
彼の名は佐藤渉(さとうわたる)年も深雪と同じ16歳だ。
「よ、深雪。五郎丸も元気か?」
渉が五郎丸を撫でた。
「うん、五郎丸も元気だよ~」
「そっかそっか~」
渉は立ち上がりどこかえ向かう。
「渉君どこ行くの?~」
「ああ、ちょっとトイレだよ。またあとで来るからさ」
そう言うと渉は行ってしまった。
「やっぱり見慣れねーよ、こんなの」
渉が見ている景色は灰色に染まった世界だった。
「俺はこの先深雪に悟られずに守れるのか?壊れた世界で」
壊れた世界。つまりこの世界は何もかもが壊れて生き残りは深雪と渉と五郎丸のみだった。
だがその事実を深雪は知らない。
「もしこれ以上、生きるのが無理だったら責めて最後に……深雪に散歩されたいな♪」
渉は深雪の下に戻った。
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