第1章

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A「ねぇ、聞いているの?」 「……」 A「ねぇ!!」 「……」 A「お饅頭食べたでしょ?」 「……」 A 「コラ、無視するなっ!!」 チラリと私を見て、生意気にもため息を吐いた。 「愚かな。ここは外で、俺は犬だぞ?」 A「……あ。」 今更気付いたという様子の少女を見て、再びため息を吐く犬は足を止めて少女を振り返る。 「知り合いに見られたら面倒だ、と言ったのはお前だ。自重しろ。」 A「あ―……忘れていた。」 「間抜けだな。」 がっくりと項垂れ、落ち込む様を鼻で笑い、犬は少女を見上げる。 B「広瀬……今、犬と喋っていたよな……?」 バレた。 その瞬間二人は顔を見合わせ、無言で走り出して逃げ出した。 呆然と後ろ姿を見つめる少年だけを残して。 End.
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