新たな命

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【___当機は まもなく成田国際空港に着陸致します】 機内アナウンスが飛行機の日本到着を告げているのに気が付いて目を開けた。 「あ、起きたか? ちょうど今 起こそうと思ってた所だ」 皇さんは 私に掛けていた毛布を畳みながら そう声をかけて来た。 「もう 着いたんですね。私 殆ど 寝て過ごしちゃいました」背伸びをしながら そう答えれば 「美久ちゃん よーく眠ってたよ。起こすのが忍びなかったもん」お隣の席に座ってた堤さんが 悪戯っぽくニヤって笑った。 「へへへ、寝る子は育ちますもので・・・・・・・」苦笑いで そう答えれば 「お前は育ち過ぎだ!」皇さんに瞬殺 ぶった切られた。 皇さんが イタリアに移住して4か月後の 今は12月中旬。 今回は 遼臥さんの13回忌の為に 堤さんと3人で帰国した。 か~やも 当初は一緒に来る予定だったんだけど 一人お留守番のマーサが不貞腐れてしまった為に 急きょ か~やと一緒に私たち不在の間 近場に旅行に行く事が決まった。 いつも お留守番のマーサも か~やが日本から私達のお世話の為に イタリアに移住してくれて しかも 堤さんのお宅に住み込んで 私達の家に通ってくれているので 歳も同じだし いいお友達付き合いをしているようだ。 お互い イタリア語と英語も堪能の為 言葉の弊害もなく 仕事が同じお手伝いと言う事で 気も合うらしい。 「お前 ゆっくりでいいから 支度しなさい」 そう声をかけられて 堤さんとは反対のお隣の席を見れば 皇さんはすでに身支度は済んでいるようだった。 「私も すぐに出られますよ。化粧室は 降りてから行きますから大丈夫です」 この言葉が合図のように 私達の乗る飛行機は滑走路の上に着陸したようで 小さく2回バウンドした。
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