好き

9/9
前へ
/9ページ
次へ
「友也が亡くなる前に手を握ったの…するとね…友也の指が動いて、私の手のひらにハートマークを描いて2回つんつんて……。そして、友也の顔を見ると笑ってた。そして " ありがとう " って、口が動いて……その次の瞬間……私の手から友也の手が離れたの」 「……そういえば、二人は時々そんなことしてたね。その行為の意味は?」 紗季の手のひらを取り同じように、みゆはハートマークを描いた。 「色々。好きとか、愛してる、幸せ……。でもあのときのは " 幸せだった、みゆも幸せになって "だと思う……」 「じゃあ私も…」 紗季はみゆの手のひらに指を走らせる。 「私のは " 幸せにしてくれ " だよ」 「もう…」 「ははっ」 やがて夕陽が消え、黒とオレンジが混ざる空になり一つ星が輝いた。 「ねぇみゆ、明日は休みだし泊まりにこない?」 「いいの……いや、でも……紗季…変なことしないでよ?」 「わかってるって……ひひひっ」 「もう…」 「1ヶ月ぶりの笑顔、ごちそうさま」 「ありがとう、紗季」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加