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「友也が亡くなる前に手を握ったの…するとね…友也の指が動いて、私の手のひらにハートマークを描いて2回つんつんて……。そして、友也の顔を見ると笑ってた。そして " ありがとう " って、口が動いて……その次の瞬間……私の手から友也の手が離れたの」
「……そういえば、二人は時々そんなことしてたね。その行為の意味は?」
紗季の手のひらを取り同じように、みゆはハートマークを描いた。
「色々。好きとか、愛してる、幸せ……。でもあのときのは " 幸せだった、みゆも幸せになって "だと思う……」
「じゃあ私も…」
紗季はみゆの手のひらに指を走らせる。
「私のは " 幸せにしてくれ " だよ」
「もう…」
「ははっ」
やがて夕陽が消え、黒とオレンジが混ざる空になり一つ星が輝いた。
「ねぇみゆ、明日は休みだし泊まりにこない?」
「いいの……いや、でも……紗季…変なことしないでよ?」
「わかってるって……ひひひっ」
「もう…」
「1ヶ月ぶりの笑顔、ごちそうさま」
「ありがとう、紗季」
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