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(そして2年たった今…私は学校の屋上で馬鹿なことをしている)
みゆは夕陽に照らされた、校舎の屋上の柵の向こう側にいた。
あと一歩踏み出せばこの世からいなくなることは、誰から見ても明らかだった。
「…友也…」
風が吹き制服がなびく。
みゆの顔は頬が少し痩け、目の下はくまができ更に目は赤く充血していた。
「……なんで……なんで先に逝っちゃうの……ずっと一緒って言ってたのに……」
みゆの最愛の彼氏の友也は1ヶ月前に交通事故で亡くなった。
今日は付き合って2年目の記念日だった。
ーーーー
友也の母親から連絡が入り、急いで病院に向かった。
目の前に映った彼は呼吸器を繋がれ、至る所に包帯が巻かれている。
目を閉じ、ただ眠っているかのようだった。
緊急治療室にはピッピッという彼の命の鼓動の電子音が流れていた。
「友也、みゆちゃんが来たわよ!目を開けて!ほら頑張るのよ!!」
友也の母親の泣き叫ぶ悲痛な声が私の心を締め付ける。
友也の隣りに行き右手を両手で掴み名前を呼ぶ。
ーーーー
友也の最期を思い出し、みゆは静かに閉じていた目を開けた。
「みゆ、あんた何やってんの? ピンクのパンツが丸見えよ。それに未成年の主張は今更流行らないよ」
みゆは静かに顔だけ振り向く。そこには屋上のドアから " 普通 " に歩いてくる紗季がいた。パックのイチゴオレを右手で持ち、左手は制服の上のポケットに突っ込んでいた。
「……紗季……私は……」
「まぁやるかやらないかはみゆの自由だよ。ただ、私が来たのは…まぁ…何ていうか……」
みゆは、間をあけた紗季の言葉を待つ。
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