好き

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「……紗季…」 みゆは紗季の背中に腕をまわし、優しく包み込む。 「綺麗…」 紗季の言葉に、みゆは体を離し紗季の目線を追う。 振り返って見た光景は、オレンジ色の夕陽が雲の隙間から射し込み、紅葉が始まった山を赤、黄、緑等の鮮やかな色彩が際立たせていた。 「うん、綺麗…」 その光景に見とれていると紗季がみゆの後ろから抱きついた。 「ねぇ……紗季?」 「なに?」 「その手の動きはやめて」 「いいじゃない。私が持っていないものがこの二つの山にある。この大きさ、形、柔らかさ……。それに……私も傷心中なんだ……だから慰めて」 「傷心中?……っ、さ~き~!!」 「上手い?」 「こらっ!?」 みゆは紗季を何とか説得し、みゆが紗季の後ろから抱きしめてあげることで落ちついた。 「いいんだよ?」 「私はしません」 「みゆ……辛かったね……」 「うん……でも…紗季のおかげで少し気が楽になった。それと…思い出したの」 「うん?」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加