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「……紗季…」
みゆは紗季の背中に腕をまわし、優しく包み込む。
「綺麗…」
紗季の言葉に、みゆは体を離し紗季の目線を追う。
振り返って見た光景は、オレンジ色の夕陽が雲の隙間から射し込み、紅葉が始まった山を赤、黄、緑等の鮮やかな色彩が際立たせていた。
「うん、綺麗…」
その光景に見とれていると紗季がみゆの後ろから抱きついた。
「ねぇ……紗季?」
「なに?」
「その手の動きはやめて」
「いいじゃない。私が持っていないものがこの二つの山にある。この大きさ、形、柔らかさ……。それに……私も傷心中なんだ……だから慰めて」
「傷心中?……っ、さ~き~!!」
「上手い?」
「こらっ!?」
みゆは紗季を何とか説得し、みゆが紗季の後ろから抱きしめてあげることで落ちついた。
「いいんだよ?」
「私はしません」
「みゆ……辛かったね……」
「うん……でも…紗季のおかげで少し気が楽になった。それと…思い出したの」
「うん?」
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