裏庭の君

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「あ、芹沢さあん。」 「...え」 あの子は確か、同じゼミの子だよな。2年生の。 「ちょっとお話ししたくてえ。ちょうど良かったあ。」 今どきの女子っぽい、語尾を伸ばすような話し方でその子は近づいてきた。 「あの、ごめん。今急いでるから、またあとででいい?ゼミの時とか。」 今の俺は、自分的に一生に1度のチャンスをとかもうとしてたから、話を聞いてあげる余裕なんてこれっぽっちもなかった。 「ええ~!?」 「本当にごめん!それじゃ行くから。」 急いで後ろに向き直ったが、そこにハルさんの姿はなかった。 しまった。 見失った。 でも、裏庭に向かっているだろうからそこに要ってみればきっと会えるはず。 俺はさっきより歩く速度を速めて裏庭に向かった。
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