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放課後の教室に、気まずい沈黙が落ちる。
誰も物音すら立てない、そんな空気を最初に断ち切ったのは美樹だった。
「あ、ありがとう…無くて困ってたの…」
相手は不良だけど、どんな相手でも誠意は誠意で返さないといけないよ、っておばあちゃんに散々言いつけられている美樹はちゃんと頭を下げて感謝を表す。
「お、おう!」
赤く染まった顔はまるで怒っているようにも見えた。
……え、怒ってらっしゃる?
そんなことを思っていると、五堂君は目元を赤く染めながらこっちをジッ、と見てくる。
どんだけ怒ってるのよ…
「じゃ、じゃあ俺はこれで…!」
そう言うや否や小走りで扉に近寄ると、ガンッ、と音を立てて閉めた。
廊下をドタドタと走って行く音が扉越しに聞こえた。
「……なにニヤニヤしてるの?」
「ん~? なにも~(五堂の恋愛相談受けてたなんて言えないわ……)」
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