第1章

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気づけば、路上に打ち捨てられていた。 ……何も思い出せない。 いったいボクは誰なんだ? 必死で悩んでいると、急にあたりが暗くなった。 視線を上げるとそこには背の高い少女が…… 「ごめんなさい。今の私には、何もできないの」 ――なんだって? 君はいったいボクとどういう関係に…… 「お願い信じて。必ず戻ってくるから」 ――行かないで! 叫びたいのに声が出ない。 ボクだけ残された。 身動きも取れない。 もうこのまま死ぬしかないのか…… やがて…… 「待たせてごめん」 少女は戻ってきてくれた。 「おせーよ! 早く始末しろよな」 男の声がして初めて、すぐそばに少年がいたことに気づく。 「ごめんね。うん○バッグ忘れてたのに気づかなくって」 微笑みながら、少女は汚いスコップをボクに向けて突き出してきて…… ようやく悟った。ボクに記憶がない理由を。 ボクは、生まれたての犬のフンだった。
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