2人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、劇の練習するか」
文化祭一日目が終わり、外来の人達が学校の敷地から出ると、翌日の劇の練習の為にクラスメイト全員を練習場所に集めた。
須藤も転校生も、そして転校生と手を繋いで現れた有紗も。
俺と智優は、クラスメイト全員の前に竹刀が二十本程詰め込まれた巨大な青バケツを置いた。
本来、消失したとクラスメイト全員に知られている竹刀が目の前にあることに、一人だけ、明らかに反応した人間がいた。
口頭で聞いた時は眉一つ動かさなかったそいつは、口をポカンと開けて竹刀の方を向いていた。
「どうしたの有紗。幽霊でも見つけたような顔だね。何かまずいことでもあった?」
「……どうしてそれを」
有紗の手を握る転校生も含めてほとんどのクラスメイトは有紗を不思議そうに見ている。
「竹刀が無くなったことを改めて見直して、気になることが二つあったんだ」
俺は青バケツに刺し込まれた竹刀の一本に手を乗せた。
最初のコメントを投稿しよう!