2人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の推理も終盤に近づき、有紗の表情は随分落ち込んでいる。
「有紗。お前は須藤に手伝うように頼んだんだろ。劇をできなくしてあげるからって。そうじゃないのか? 有紗。須藤」
二人は黙り込んでいる。
クラスメイトも何も言おうとしない。
俺が話し出さないと状況は進まなかった。
「……須藤。お前は昨日、放課後の劇の練習に来なかった。おそらくその間に、家にいた有紗を学校まで連れてきたんだろ。そして鍵を盗み、有紗を多目的ホールに連れてきた。そして帰宅時間が過ぎた後に須藤は学校に忍び込み、有紗と竹刀を隠した」
証拠が必要なら有紗の親に聞けば分かる。
帰宅時間後に、その日学校に行っていない有紗が家を出たとなると、親は不思議に思うに決まっている。
求められれば提案するつもりだけど、まあ必要無いだろ。
「……須藤君は関係無いの。だから責めるなら私を責めて」
俺が話し終えた後、沈黙を破るようにして有紗は言った。
最初のコメントを投稿しよう!