本番

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「緊張してますね」 「まぁそうだね。してるよ、緊張」 「大丈夫ですよ。らすと君と蒼君なら」 「転校生か。あいつも流石だ。昨日の今日で本番とは思えない」  やっぱりあいつも選ばれた人間か。 「最後、ちゃんと私の事助けに来てくださいね。応援してます」 「…………なぁ智優。応援なんてお前らしくないな」 「そんなことはないですよ。中学からの友達は皆、私のことを変わったと言います。私が変わったのは高校からなんですよ」 「そうなのか?」 「はい。そうですね、らすと君は知ってるはずないですよね」 「俺達は高校で知り合ったからな」 「そうでした。らすと君。出番そろそろです」 「よし。じゃあ行ってくるわ」 「ファイトです!」 「おう」  俺は竹刀を持ち、ステージを前にして息を整えた。  ステージの反対側には既に袴を着た転校生が仁王立ちをしている。  前にもこんなことあったな。  そんなことを思いながら、俺はステージに出た。
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