文化祭

2/8
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
 ブルーウィーク六日目、最終プログラムである文化祭の一日目がやってきた。  まばらな配置で蝉が鳴いている。  もうじき夏本番が来るのを感じさせるほどの暑さ。  このまま何もなければとりあえず文化祭は始まってくれる。  文化祭の間は校内土足解禁となるため、俺は上靴に履き替えずに職員室に向かい、多目的ホールの鍵を借りた。 「今日も早いですね、らすと君」  多目的ホールに着く前に、智優と遭遇した。 「おはよ。智優も早いね」 「今日はらすと君に負けてしまいましたけど」  何気無く話しながら俺達は多目的ホールに向かい、そこの扉を開けた。  物置となってから数日経ち、少し埃臭くなりつつあるその場所の電気を点けると、いつもと変わらない風景に欠陥があった。 「竹刀無くないですか?」 「……嘘だろ?」  そんなばかな。 「智優。ちょっと探すぞ」  昨日竹刀を直したのは俺と智優だ。  それからは誰も触ってないはず……。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!